kaigonoki’s diary

えがおの高齢者を増やす介護士

いじめられている?どうしたら力になってあげられる?

「いじめられているのかもしれない…」


その違和感を見過ごさず、あなたが立ち止まって考えたこと自体が、すでに誰かにとっての救いになっているかもしれません。

 

私は介護士として老人ホームで働いていますが、職場のなかでも、また入居者様同士の間でも、「いじめ」や「孤立」と思えるような場面に出会うことがあります。

 

今回は、「誰かがいじめられているかもしれない」「でも自分には何ができるのだろう?」と悩んでいる方に向けて、私なりの経験と考えを綴ってみたいと思います。

 

いじめは子どもだけの問題ではない

いじめという言葉を聞くと、多くの人は学校の問題を思い浮かべるかもしれません。でも実際は、どの年代・どの場所にも、「見えにくいいじめ」は存在します。

 

介護の現場でもそれは例外ではありません。たとえば――

 

◆食事の席で「あの人の隣は嫌」と声をあげる方がいる

 

◆車椅子の方を無視したり、からかうような言葉をかける人がいる

 

◆職員同士で誰かだけに仕事を押しつけているように見えることがある

 

表立って「いじめ」と断言できないことでも、言葉の棘や態度の冷たさに傷ついている人は、たしかにいます。

 

その「違和感」に気づけたあなたは、きっと優しい人

「もしかして、いじめられてるのかな?」


その気配に気づけたあなたの感性は、とても繊細で、温かいのだと思います。たとえ確信がなくても、「なんかおかしい」と思ったことは大切にしてほしい。


誰かが声に出せない苦しさを、あなたのまなざしが代わりに拾っているのかもしれません。

 

私も、入居者様の一人がある日から急に無口になったとき、「あの人に何か言われたのかな…」と違和感を覚えました。

 

実際、あとからその方の言葉で、ささいなからかいが毎日続いていたことを知りました。本人は「気にしすぎかも」と言っていたけれど、それは間違いなく“心がすり減っている”サインでした。

 

できることは、小さな関わりから

では、あなたが何かできることはあるのでしょうか?


答えは「はい」です。ただし、“無理に正義の味方になろうとしないこと”が、とても大切です。

 

いじめの加害者や、そのグループに直接「やめなよ」と言うことは、勇気がいりますし、関係性が悪化するリスクもあります。だからといって、何もしないという選択しかないわけではありません。

 

まずできることは、「被害を受けているかもしれない人のそばにいる」こと。


その人にとって、話を聴いてくれる相手、名前を呼んでくれる存在がいるだけで、心の支えになります。

 

●「おはよう」と笑顔で声をかける


●「いつも気になってたけど、調子どう?」とさりげなく話す


●食事やレクのとき、一緒の時間を過ごす

 

その積み重ねが、「私は一人じゃない」と思える安心につながります。

 

「味方でいるよ」というメッセージを、言葉にしなくても伝える

いじめを受けている人は、「自分に落ち度があったのかも」と自責の気持ちに陥っていることがあります。そんなとき、理屈や正論ではなく、「大丈夫、あなたの味方だよ」という雰囲気をまとって寄り添うことが、とても効果的です。

 

たとえば私は、ある入居者様が他の方に軽く無視されているのを見たとき、あえてその方の名前を大きめに呼んで、「〇〇さん、今日の帽子すごく素敵ですね!」と話しかけました。そうすると、その場にいた他の人たちの空気が一瞬やわらぎました。

 

これは「その人が無視される存在ではない」と、場全体に示すメッセージになったのだと思います。

 

状況を職場で共有することも「力になる」こと

いじめのような現象を一人で抱えると、「自分が大げさに受け止めてるだけかも…」と自信をなくすことがあります。そんなときは、信頼できる上司や同僚に「ちょっと気になってることがあって」と相談してみてください。

 

感情的に誰かを批判するのではなく、「〇〇さんが最近元気がないのが気になる」「△△さんの言葉が少し強く感じられる」など、客観的に話すことで、職場としても対策を立てやすくなります。

 

介護の現場では、入居者様一人ひとりの尊厳を守ることが何より大切です。あなたの気づきは、職場全体の「空気」を変える力になるかもしれません。

 

あなたのやさしさを、あなた自身にも向けて

最後に大事なことをお伝えします。
それは、「あなた自身も守られるべき存在である」ということ。

 

いじめのような問題に関わると、心がすり減ることもあります。「なんで誰も気づかないの?」「なんで自分だけがこんなに苦しいの?」と思ってしまう日もあるかもしれません。


だからこそ、あなた自身も、信頼できる人と話し、感情を吐き出す場所を持ってください。

 

誰かの力になりたいと願うあなたが、無理なくその優しさを持ち続けられるように。
あなたのその思いが、いつか必ず、誰かを救う力になります。

 

「いじめられているのかもしれない」と感じたその直感は、決して無意味ではありません。


その気づきが、誰かの未来を変えることもある。


あなたの優しさが、今日も誰かの心に灯りをともしています。

どうか、そのあたたかさを、あなただけの形で大切にしていってくださいね。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。