kaigonoki’s diary

えがおの高齢者を増やす介護士

夜勤専門介護士の日記:ありがとうの瞬間

私は、老人ホームで働く夜勤専門の介護士です。介護士として働いて19年以上になりますが、認知症の患者さんのケアは、常に難しいと感じています。

 

認知症の患者さんは、徐々に記憶を失い、自分の名前や家族のこともわからなくなってしまうことがあります。また、幻覚や妄想をみせることも多く、介護士にとっては、対応が難しいケースも少なくありません。

 

そんな中、ある日、私は、ある患者さんのケアで、忘れられない瞬間を体験しました。

 

その患者さんは、80代の女性で、認知症の症状が進行していました。彼女は、私の顔を見ても、いつも「あなたは誰?」と尋ねてきました。

 

ある日、私は、彼女に、昔の写真を見せながら、話をしました。写真には、彼女が若い頃、家族や友人と一緒に写っているものもありました。

 

彼女は、写真を眺めながら、静かに微笑んでいました。そして、ふいに、「あの頃は、本当に幸せだったわ」と、つぶやきました。

 

その瞬間、彼女の顔は、若々しい表情に変わったように見えました。そして、彼女は、私に、こう言いました。

 

「ありがとう、あなたに出会えて、私は幸せだった」

 

私は、彼女の表情を見て、心が震えました。彼女は、自分の記憶を失っていたけれど、今、私は彼女にとって、大切な人なのだと感じました。

 

私は、彼女の手を取り、こう言いました。

 

「私も、あなたに出会えて、幸せです」

 

その瞬間、彼女は、私の手をきつく握った後に抱きついてくれました。私は、彼女の体温を感じながら、彼女の幸せを願いました。

 

介護士の仕事は、決して楽ではありません。しかし、このような瞬間を経験することで、私は、介護士としてのやりがいを改めて感じることができます。

 

認知症の患者さんは、自分の記憶を失うことで、孤独感や不安感を抱いていることが多いと思います。そんな患者さんに、少しでも幸せな時間を過ごしてもらうために、私はこれからも、全力でケアをしていきたいと思っています。

 

このブログは、多くの人に読んでもらい、認知症の患者さんに対する理解が深まることを願っています。