kaigonoki’s diary

えがおの高齢者を増やす介護士

介護士からみた認知症高齢者が介護を受ける心情

老人ホームで働く介護士として、日々入居者の方々の介護を担当している中で、認知症を抱える高齢者たちが抱える心情について深く考える機会が多くなりました。

 

認知症は、記憶力や判断力の低下といった症状を伴い、日常生活に大きな支障をきたすことがあり、その結果、介護が必要になるケースが少なくありません。この状況下で、認知症高齢者たちがどのような心情を抱えているのでしょうか。以下に、その一端をお伝えします。

 

  1. "自分は自分でなくなった"

 

認知症にかかると、自己認識が曖昧になり、自分が誰で、何をすべきかがわからなくなることがよくあります。このため、多くの認知症患者が「自分は自分でなくなった」と感じることがあります。例えば、自分の名前や家族の名前を思い出せなくなると、自己のアイデンティティが混乱し、自己を見失ってしまうことがあります。また、簡単な計算や日常的な判断力が低下すると、自分の能力が劣化したことを痛感し、自己評価が低下することもあります。

 

  1. "誰も信じられなくなった"

 

認知症になると、周囲の人の言葉を理解できなくなったり、誤解してしまったりすることがあります。そのため、「誰も信じられなくなった」と感じることも少なくありません。家族や介護士のアドバイスを否定し、怒りを表すことがあると、周囲から「あなたは間違っている」「あなたはいつも怒っている」と指摘されることがあるでしょう。このような状況下で、自己評価が低下し、孤独感と不安が増幅されることがあるのです。

 

  1. "孤独と不安を感じている"

 

認知症にかかると、外出や買い物などの自己ケア活動が難しくなり、社会とのつながりが断たれることがあります。これにより、「孤独と不安を感じている」高齢者も珍しくありません。友人や家族との関係が次第に疎遠になり、介護士以外の人々との交流が制約を受けると、高齢者は孤独感を抱くようになります。また、認知症が進行し、自立生活が難しくなる不安も、付きまとうことでしょう。

 

  1. "自分らしく生きていきたい"

 

認知症にかかっても、多くの高齢者が自分らしく生きることを望んでいます。趣味を楽しむことや、家族や友人との交流を続けることで、自己アイデンティティを保とうと努力します。また、介護士との信頼関係を築き、自分らしい生活を維持するためのサポートを求めることもあります。

 

認知症高齢者の介護を受ける心情は、個人によって異なりますが、多くの人々が自己の存在価値や生きる意味を見失い、孤独や不安に苦しんでいることが言えます。介護士として、認知症高齢者の心情を理解し、共感し、その支えになることは非常に重要です。そのために、以下の点に留意することが肝要です。

 

認知症の症状や進行度を理解する: 認知症の病態や進行度について深く理解することは、高齢者のニーズに応じた介護を提供する上で不可欠です。

 

認知症高齢者の心情を想像する: 言葉に頼らないコミュニケーションや共感によって、高齢者の感情や心情を理解しようと努力することが大切です。

 

認知症高齢者の意思を尊重する: 高齢者の意思を尊重し、彼らが自分自身の選択を尊重できる環境を提供することが重要です。

 

認知症高齢者の自立を支援する: 高齢者のできることを引き出し、自己価値感を高め、自立をサポートすることが介護士としての責務です。

 

認知症高齢者の介護は簡単なことではありませんが、理解と共感をもって支えることで、彼らの生活を豊かにすることができると信じています。以下に、認知症高齢者の介護において重要なアプローチを示します。

 

  1. コミュニケーションの工夫:

認知症高齢者とのコミュニケーションは、言葉だけでなく、非言語的な手段も活用しましょう。笑顔、タッチ、音楽、写真などを通じて感情を表現し、彼らとのつながりを深めましょう。

 

  1. 安全な環境の提供:

認知症高齢者にとって、安全な環境が非常に重要です。危険な状況から守り、誤って物を取ったりすることを防ぐために、施設や住環境を適切に調整しましょう。

 

  1. 意思尊重と選択の提供:

認知症高齢者にできるだけ自分で選択をする機会を与えましょう。例えば、服の色を選ぶ、食事の選択肢を提示するなど、彼らが生活に参加できる機会を提供します。

 

  1. ルーチンと予測可能性:

認知症高齢者には予測可能な日常のルーチンが安心感を提供します。同じ時間に食事をする、同じ場所で活動するなど、予測可能な環境を作りましょう。

 

  1. 感情の受容:

認知症高齢者が感情を表現することは重要です。怒り、悲しみ、不安などを受け入れ、寄り添いましょう。感情を尊重し、和らげる手助けを提供します。

 

  1. レーニングとサポート:

介護士としてのトレーニングやサポートを受けることは、認知症高齢者のケアの質を向上させる鍵です。最新の知識とスキルを習得し、仲間との連携を強化しましょう。

 

認知症高齢者のケアに携わる者として、認知症に関する知識を深め、個々の高齢者に合わせたアプローチを模索しましょう。彼らの心情を理解し、尊重し、サポートすることが、彼らが自分らしく生きることを可能にし、彼らの生活に意味を与える手助けとなります。

 

私はこれからも認知症高齢者の介護に携わり、彼らが喜びと尊厳を持って生活できるように尽力していきたいと考えています。彼らにとって希望と安心を提供できるよう、誠実なケアを提供し続けます。

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。