kaigonoki’s diary

えがおの高齢者を増やす介護士

気づきの大切さに気付いていない?

皆さんは「気づき」という言葉を、日常生活の中でどれだけ意識していますか?

 

仕事や人間関係、日常の些細な瞬間の中に、私たちは実はたくさんの「気づき」を得る機会があります。しかし、その多くは見過ごされてしまいがちです。

 

特に介護の現場では、目の前の入所者様の状態や表情、行動に気づくことが、時に大きな違いを生むことがあります。

 

ですが、その「気づき」がどれだけ重要かに気付けないまま、日々の忙しさに流されてしまうことも少なくありません。

 

実は私も、長年介護の仕事をしてきて、この「気づきの大切さ」に深く意識するようになったのは、ある出来事がきっかけでした。

 

「気づかない」ことが生むリスク

介護の仕事は、入所者様の小さな変化にいかに気づけるかが重要です。

 

例えば、普段よりも少し食欲が落ちていたり、話す声がいつもより弱々しかったり、あるいは表情が硬くなっていたり。

 

こうした小さな兆候は、体調や精神状態の変化を示すサインであり、私たちがその変化に気づくことで、早期に対応することができるのです。

 

しかし、その「気づき」を見逃してしまうと、後々大きな問題に発展することがあります。

 

例えば、ある入所者様が普段よりも食事を少ししか取らなくなった時、私は「ただの食欲不振かな」と思い、そのまま深く考えませんでした。

 

その後、その入所者様は体調を崩し、医師の診断で「軽い脱水症状」とのこと。あの時、もっと早く気づいていたら、もっと軽いうちに対処できたかもしれません。

 

この出来事は、私にとって大きな反省点となりました。「気づく」ということは、ただ目に見える変化を確認するだけでなく、その背景にある理由や感情に目を向けることが必要なのだと気付かされました。

 

気づく力はどう育てられるか?

では、私たちはどのようにして「気づく力」を育てていくことができるのでしょうか?それには、日常の中で少しずつ意識的に「気づき」を深めていく練習が必要です。

 

  1. 目の前のことに集中する

介護の仕事は、時に慌ただしく、同時に多くのことに気を配らなければならない状況に置かれることがよくあります。

 

しかし、そうした時こそ、目の前にいる入所者様にしっかりと集中することが重要です。会話や動作、表情の一つ一つに注意を払い、その中から「普段と違うこと」に気づけるかどうかが、大きな差を生みます。

 

例えば、普段よく話をしてくれる方が、その日は口数が少ない。これだけでも、何か不安や心配事を抱えているかもしれないというヒントになるのです。何気ない違和感や小さな変化を見逃さないためには、常に相手に寄り添い、その瞬間に集中することが必要です。

  1. 自分自身を振り返る時間を持つ

私たちは忙しさの中で、自分自身の状態や感情に気づく余裕を失ってしまうことがあります。

 

しかし、気づきを育てるためには、自分自身を振り返り、冷静に内省する時間も大切です。

 

仕事が終わった後に、今日一日を振り返ってみる。

 

自分がどのような感情で入所者様と接していたか、どの瞬間に気を配れていたかを思い出すことが、自分の「気づき」のスキルを高める一助になります。

 

反省点があればそれを次の日に活かすことで、少しずつ成長していけるのです。

  1. 周囲の声に耳を傾ける

介護の現場では、同僚や他のスタッフとのコミュニケーションも重要です。

 

時には、自分では気づけないことに、他のスタッフが気づいてくれることがあります。

 

そうした声に素直に耳を傾けることも、「気づく力」を鍛えるための一つの方法です。

 

「今日は○○さんの様子がちょっと違っていたよ」と同僚が教えてくれたら、その話を軽く流さず、自分でもその違いを確認する。

 

こうした積み重ねが、自分一人では見逃してしまいがちな細かい変化に気づけるようになります。

 

気づきは信頼関係を築く

「気づく」という行為は、ただ仕事のスキル向上に留まるものではありません。入所者様との信頼関係を築く上でも非常に重要な要素です。

 

介護の現場では、入所者様一人ひとりが異なる背景や生活歴を持っています。彼らがどんなことを好み、どんな時に安心し、何に対して不安を感じるのか。

 

そうした細かな点に気づけると、入所者様は「自分のことを理解してもらえている」と感じ、私たちとの信頼関係が深まります。

 

例えば、ある入所者様が少しずつ言葉を減らしていることに気づき、さりげなく「今日は少し疲れているみたいですね」と声をかけると、その方は「わかってくれてありがとう」と微笑んでくれました。

 

このように、小さな気づきが入所者様との絆を強化するきっかけになるのです。

 

信頼関係が築かれると、入所者様自身も心を開いてくれ、私たちに自分の体調や気持ちを正直に話してくれるようになります。

 

これが、介護の現場でのスムーズなケアの提供に繋がり、結果として全体のケアの質を高めるのです。

 

忙しさに埋もれてしまう「気づき」

私たちが「気づき」に目を向けられない理由の一つに、日々の忙しさがあります。

 

特に介護の現場では、入所者様のケアに追われ、次から次へとやるべきことに追い立てられることがよくあります。

 

その中で「ただこなす」ことが優先され、目の前の小さなサインや変化に気づく余裕がなくなってしまうのです。

 

しかし、そうした忙しい時こそ「気づく」という行為は重要です。短時間の中でも、できる限り入所者様の様子に目を向け、細かな変化をキャッチすることが、長期的には大きな違いを生むのです。

 

一つの例として、ある日の朝、私がバタバタと仕事をこなしている時、入所者様の一人が何かを話しかけようとしていたのに気づけませんでした。

 

後から気づいた時には、その方はもう話す気力を失っており、結局その日の午後に体調を崩されてしまいました。

 

もしあの時、少しでも立ち止まって耳を傾けていれば、もっと早くに対応できたかもしれないと思い返します。

 

気づきの積み重ねが成長を生む

「気づき」は一度や二度で完璧に身に付くものではありません。それは日々の積み重ねの中で徐々に育まれるものです。

 

私たちが意識して気づく力を鍛え、少しずつその感覚を磨いていくことで、介護の現場での対応力が高まり、結果として入所者様へのより良いケアに繋がります。

 

介護の現場で働いている皆さんは、日々多くの気づきのチャンスに出会っています。しかし、その「気づき」を活かすためには、まず自分がそれに気づいているということを自覚し、行動に移すことが必要です。

 

小さな気づきが大きな変化を生む

気づきの大切さは、時に「そんな些細なことに気づいても大した影響はないだろう」と思われるかもしれません。

 

しかし、介護の現場では、その些細な気づきが入所者様の生活の質に大きな影響を与えることがよくあります。

 

例えば、ある入所者様が普段は座っている椅子から立ち上がる時に少し苦労していることに気づいたとしましょう。

 

その一見些細な違いが、実は筋力低下や体調の変化の初期サインかもしれません。

 

それに気づき、早めに医師やリハビリスタッフに相談することで、早期に対処ができ、入所者様の健康を守ることができます。

 

また、ある入所者様が最近笑顔を見せなくなったことに気づくと、それは精神的な不安や孤独感を抱えているサインかもしれません。

 

少し時間をかけて話を聞き、彼らの心の中にある悩みや不安に耳を傾けるだけでも、気持ちが軽くなり、安心感を取り戻してもらえることがあります。

 

こうした小さな気づきは、積み重ねることで大きな信頼を生み、入所者様一人ひとりが安心して暮らせる環境を作る基盤となるのです。

 

気づきがチームの力を引き出す

さらに、気づきの力は個人だけでなく、チーム全体の力を引き出すことにもつながります。介護の現場は一人ではなく、多くのスタッフが協力して運営されています。

 

そこで重要なのは、各自が自分の役割を全うしつつ、チーム全体の動きに気を配り、お互いに助け合うことです。

 

例えば、同僚が忙しそうにしているのを見かけたら、「何か手伝えることはありますか?」と声をかける。

 

これは単なる優しさではなく、チーム全体の動きをスムーズにするための重要な気づきです。

 

逆に、何か問題が起こりそうな兆しに気づいた時、すぐに周囲と連携して対処することで、未然にトラブルを防ぐことができます。

 

チーム内での気づきが増えると、スタッフ同士の信頼関係も深まり、職場全体の雰囲気が良くなります。結果として、入所者様にも質の高いケアが提供されるようになります。

 

自分自身の「気づき」にも目を向ける

「気づき」は他者に対してだけでなく、自分自身にも向けられるものです。

 

介護の仕事は心身ともに大きな負担がかかることがあり、自分の体調や精神状態に気づけずに無理をしてしまうことがあります。

 

そうした状態が続くと、結果として自分のパフォーマンスが低下し、入所者様に十分なケアを提供できなくなるリスクがあります。

 

そのため、日々の仕事の中で「自分はどう感じているのか」「疲れていないか」「ストレスを抱えていないか」といった自分自身の状態に気づくことも非常に大切です。

 

時には、少し立ち止まって自分を見つめ直し、適切に休息を取ることで、心身のバランスを整えることができます。

 

私自身、忙しさに追われて自分の疲労感に気づけなかった時期がありました。

 

ある日、同僚から「最近少し元気がないね」と声をかけられ、その言葉で初めて自分の疲れに気づきました。

 

気づいてからは、自分のペースを調整し、無理をせずに働くことを心がけるようになり、その結果、仕事の質も向上しました。

 

気づきの習慣を作るために

最後に、気づきを習慣化するためのいくつかのヒントをご紹介します。これらを実践することで、自然と気づく力が身につき、日常の中での変化に敏感になることができます。

 

  1. 毎日5分の振り返り
    一日の終わりに、入所者様や同僚とのやり取りを振り返り、どんなことに気づけたか、見逃したことはなかったかを考えてみましょう。自分自身の行動や感情にも目を向け、その日の「気づき」を振り返ることが習慣化すれば、次の日からより良い対応ができるようになります。
  2. 他者の視点を取り入れる
    自分一人の視点では見逃してしまうことが多いです。時には同僚や上司、入所者様からのフィードバックを大切にし、彼らが気づいたことを参考にしましょう。違った視点からの気づきは、新たな成長の機会を与えてくれます。
  3. 五感を使って観察する
    目、耳、鼻、触覚といった五感をフルに活用して、周囲の状況に気を配るように意識しましょう。入所者様の声のトーンや歩き方、部屋の匂いなど、普段は見過ごしてしまうような些細な要素も大切な気づきの手がかりになります。

 

気づきが未来を変える

気づきの力は、仕事や人間関係だけでなく、私たちの人生全体にも大きな影響を与えます。

 

日々の小さな変化に気づき、それを大切にすることで、私たちは成長し、周囲の人々との関係を深めていくことができます。

 

介護の現場で働く私たちは、日常の中で多くの「気づき」に出会っています。

 

その気づきがどれだけ重要であるかを再認識し、自分のケアや対応に反映させていくことで、入所者様にとってより良い生活環境を提供できるのです。

 

そして、その積み重ねが、私たち自身の成長にも繋がります。

 

どうか、今日から少しでも「気づき」を意識し、周囲の小さなサインに目を向けてみてください。それが未来を変える第一歩になるかもしれません。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。