誰かに話を聞いてほしい、わかってほしい。
そんなふうに感じることはありませんか?
ふとした瞬間に胸がぎゅっと締めつけられて、でもそれを誰にも言えずに、自分の中で抱え込んでしまう——
そんな経験、きっと誰にでもあるのだと思います。
私も、老人ホームで介護士として働いている中で、たくさんの「話したいのに話せない」思いに触れてきました。
それは入居者さんだけでなく、働く仲間や、そして自分自身も含めてです。
だからこそ今回は、「あなたの思いに寄り添ってくれる人の見つけ方」について、少しだけお話しさせてください。
1. 「わかってくれる人」は、いきなりは現れない
寄り添ってくれる人を探すとき、つい「私の全部を理解してくれる人」を求めてしまいがちです。
でも、実は「全部わかってもらおう」としなくてもいいのだと思います。
わかってもらおうとすると、私たちはつい構えてしまいます。
「ちゃんと説明しなきゃ」「誤解されたくない」って思ってしまう。
でも、寄り添ってくれる人って、必ずしも全部を理解してくれる人じゃないんです。
「あなたのその気持ち、ちょっとだけわかる気がする」
「なんとなく今の表情が気になった」
そんなふうに、ふとした瞬間にそっと気持ちに触れてくれる人。
そんな小さなやりとりの中に、寄り添いは生まれるのだと思います。
2. 自分の「好き」を大事にしてみる
寄り添ってくれる人に出会いたいと思うなら、まずは自分の気持ちに寄り添ってあげることも大切です。
あなたがホッとする瞬間、好きな時間、心が緩む場所——
そういったものを思い出してみてください。
例えば、私は介護の現場で疲れたとき、小さな中庭のベンチで一人、お茶を飲む時間がとても大切でした。
そんな時間にふと隣に座った同僚とぽつりぽつりと話すうちに、「あ、この人、話せるかも」と思えたことがありました。
それは意図していたわけでもなく、自然に心が動いた瞬間です。
自分の「好き」や「安心できること」を大切にしていると、似たような感性を持つ人が自然と近くにいることに気づけたりします。
無理に探さなくても、そういう人との出会いは、案外そっと訪れるのかもしれません。
3. 小さな「勇気」が、出会いのきっかけになる
「寄り添ってほしい」と思っても、なかなか自分から声をかけるのは難しいですよね。
でも、ほんの少しだけ勇気を出して、「おはよう」「今日、ちょっとしんどくて…」
そんな一言を発してみるだけで、空気が変わることもあります。
私が働くホームでも、普段あまり話さない入居者さんが、ある日ぽつりと「寂しいのよ」と言ったことがありました。
その瞬間、周りにいた職員の目が変わったのを感じました。
そこから少しずつ、その方の周りには温かな会話が増えていったのです。
寄り添いは、タイミングでも、スキルでもありません。
誰かが小さく心を開いた瞬間に、ふわりと生まれるものです。
そしてそのためには、少しの勇気が、やっぱり必要なんです。
4. 「この人は違う」と思っても、大丈夫
人に思いを打ち明けたときに、思っていたような反応が返ってこなかった——
そんな経験があると、「やっぱり誰もわかってくれない」と感じてしまうこともありますよね。
でも、それはその人が悪いわけでも、あなたが間違っているわけでもありません。
たまたま波長が合わなかっただけなんです。
私たちは日々、多くの人と関わります。
その中には、心がすれ違う人もいれば、静かに寄り添ってくれる人もいます。
だから、うまくいかなかったときに落ち込むのではなく、「この人じゃなかったんだな」と思って、そっと手放してみてください。
あなたにとって本当に心地よい関係は、きっと他のどこかで待っています。
5. 「ひとりじゃない」と思える瞬間を、大切に
最後に、これは私が介護の現場で学んだ一番大切なことです。
それは、「誰かに寄り添うこと」は、特別な行為ではないということ。
何気ない会話、ふとした視線、肩に手を置くしぐさ。
その一つひとつが、相手の心に「あなたはひとりじゃないよ」と伝えているのだと思います。
あなたのことを心からわかってくれる人は、もしかしたら今すぐには見つからないかもしれません。
でも、あなたが少しずつ心を開き、自分自身を大切にしながら日々を重ねていけば、
きっとどこかで、「あ、この人だ」と思える誰かに出会えるはずです。
どうか、その日まで焦らず、自分のペースで歩いていってくださいね。
そして、もし今日この記事を読んで「ちょっと気持ちが楽になった」と思っていただけたなら、
それはもう、ひとつの寄り添いがここにあったということ。
あなたが、あなたらしくいられる場所を、私は心から願っています。
最後までお読みいただきありがとうございます。