kaigonoki’s diary

えがおの高齢者を増やす介護士

90代誤嚥死に2365万円賠償判決に寄せて

2023年11月7日、広島県の老人ホームに入所していた90代男性がゼリーを喉に詰まらせて窒息死した事例をめぐる裁判で、裁判所は介護施設に2365万円の支払いを命じる判決を下した。

 

この判決を受け、介護士業界では大きな衝撃が走っている。誤嚥事故は介護現場で起こりうる重大な事故であり、介護士にとっては常に付きまとう不安の種である。今回の判決が、介護士のさらなる心理的負担につながることは避けられない。

 

私は、老人ホームで働く介護士として、今回の判決に以下のような意見を抱いている。

 

1.介護士誤嚥事故防止対策の努力は評価されるべき

今回の判決では、介護士が男性の誤嚥を防ぐための適切な措置を講じなかったことが、死亡の原因となったと認定された。しかし、介護士は一人ひとりの入居者の状況や状態を把握し、その人に合わせた食事介助を行うことが求められている。また、誤嚥事故が発生した場合は、迅速かつ適切な対応を行うことも求められる。

 

介護士は、こうした誤嚥事故防止対策の努力を常に行っている。しかし、入居者の状態は刻々と変化するため、常に100%完璧な対応を行うことは不可能である。

 

今回の判決は、介護士誤嚥事故防止対策の努力を評価するものではなく、介護士誤嚥事故防止対策の不備を厳しく追及したものと言える。

 

2.介護士誤嚥事故防止には、施設側の体制整備が不可欠

誤嚥事故防止には、介護士の努力だけでなく、施設側の体制整備も不可欠である。具体的には、以下のような対策が考えられる。

 

  • 誤嚥リスクの高い入居者を把握し、個別に対策を講じる
  • 誤嚥事故防止の研修を充実させる
  • 十分な人員配置を確保する

 

しかし、現状の介護施設では、こうした体制整備が十分に行われていないことが問題となっている。特に、人員配置の不足は深刻な課題である。

 

今回の判決は、施設側にも誤嚥事故防止対策の責任があることを改めて示すものとなった。施設側は、介護士の負担を軽減し、誤嚥事故の防止につなげるための体制整備を急ぐ必要がある。

 

3.介護士心理的負担を軽減する対策が必要

誤嚥事故は、介護士にとって大きな精神的負担となる。今回の判決は、介護士心理的負担をさらに増大させる可能性がある。

 

介護士心理的負担を軽減するためには、以下のような対策が考えられる。

 

介護現場では、誤嚥事故だけでなく、転倒事故や褥瘡などの事故も起こりうる。介護士が安心して働ける環境を整備することは、誤嚥事故の防止にもつながる。

 

まとめ

今回の判決は、介護士誤嚥事故防止対策の重要性を改めて示すものとなった。しかし、介護士の努力だけでは、誤嚥事故を完全に防止することは不可能である。施設側の体制整備と、介護士心理的負担を軽減する対策が不可欠である。

 

介護士の皆さんには、今回の判決を厳粛に受け止め、さらなる誤嚥事故防止対策に取り組んでいただきたい。また、施設側には、介護士の負担を軽減し、安心して働ける環境を整備していただきたい。

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。