私は、老人ホームで働いている「かいごの木」です。
高齢者介護を職業としていますが、色々調べていくうちに「介護」は縄文時代からあったということが分かってきました。
縄文時代は、日本列島に定住した人々が、狩猟・採集・漁労を中心とした生活を送っていた時代です。その時代の人々は、弱者を捨てず、助け合いながら暮らしていたという知見が、近年の考古学調査によって明らかになってきました。
その一つの例が、北海道洞爺湖町にある「入江貝塚」から出土した人骨です。この人骨は、筋肉がやせ細り、動けずに寝たきりだったことが分かっています。また、歯がまったくないことから、食べ物を口に運ぶことも難しかったと考えられます。
しかし、この人骨は、成人まで生きていたことが明らかになっています。これは、介護を受けながら、長生きしていたことを意味します。当時の人々は、そのような弱者を、社会から切り離すことなく、家族や共同体で支え合っていたと考えられます。
また、北海道の別の遺跡からは、小児マヒの疑いのある人骨も出土しています。この人骨は、18歳前後で亡くなっていますが、若くして亡くなったということは、それまでは介護を受けていたと考えられます。
これらのことから、縄文時代の人々は、障害や病気などによって、生活に困難を抱える人々を、助け合いながら暮らしていたことが分かります。これは、現代の介護の原点とも言えるでしょう。
縄文文化から学ぶ、介護のヒント
縄文時代の人々の介護の姿勢から、現代の介護に活かせるヒントをいくつか挙げてみましょう。
- 弱者を社会から切り離さない
縄文時代の人々は、弱者を社会から切り離すことなく、家族や共同体で支え合っていました。これは、現代の介護においても重要な視点です。介護を必要とする人々を、地域社会につなぎ、孤立させないための取り組みが求められています。
- 障害や病気は、個性の一つと捉える
縄文時代の人々は、障害や病気を、個性の一つと捉えていました。そのため、そのような人々を、特別視することもなく、自然に受け入れていたと考えられます。現代の介護においても、障害や病気を、個性の一つと捉え、その人らしく生きられる社会を実現することが大切です。
- 助け合いの精神を大切にする
縄文時代の人々は、助け合いの精神を大切にしていました。そのため、介護を必要とする人々を、家族や共同体で助け合いながら支えていたと考えられます。現代の介護においても、助け合いの精神を大切にし、介護を必要とする人々を、地域社会全体で支える仕組みづくりが求められています。
縄文文化から学ぶ、介護のヒントは、現代の介護の課題解決にも、大いに役立つものと考えられます。今後も、縄文文化の研究が進むことで、介護の新たな可能性やヒントが見えてくるかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございます。