kaigonoki’s diary

えがおの高齢者を増やす介護士

毎日いただきますが言える幸せ

介護士として日々働いている中で、ふと感じる瞬間があります。

 

それは、入居者様の皆さんが「いただきます」と言って食事を始めるとき。日常の何気ない言葉のはずですが、毎回その一言に込められた意味の大きさを思い知らされます。

 

私たちは食事をするのが当たり前だと思いがちですが、それができること自体が本当に幸せなことだと気づくことは少ないのではないでしょうか。

 

私がこの仕事を始めてから、「いただきます」がどれだけ貴重なものであるかを実感することが増えました。

 

老人ホームで働く中で、入居者様の方々と日々の食事を共にする時間が、ただの食事以上の意味を持っていることを感じます。

 

そこには生きること、命を繋ぐこと、感謝の気持ちが詰まっているのです。

 

食事の前に「いただきます」と言えることの意味

「いただきます」は、感謝の気持ちを表す言葉です。

 

食材を育ててくれた自然、料理を作ってくれた人々、そしてその食事を共にできる人たちに対しての感謝が込められています。

 

しかし、年齢を重ねたり、体が不自由になると、その「いただきます」が言えない、あるいは言うことが難しくなる方もいます。

 

老人ホームに来られる方々の中には、食事を一人で食べることができなくなった方や、咀嚼が難しくなっている方、味覚が変わってしまい食事を楽しめなくなった方がいらっしゃいます。

 

そんな方々の介助をしながら、私たちは「いただきます」と言えることの幸せ、そしてそれを続けられる日常がいかに大切かを日々感じています。

 

ある入居者様さんが言っていました。

 

「若い頃は食事が面倒だと思うこともあったけど、今は一口一口がありがたい」と。

 

普通に食べることができた頃には気づかなかった感謝の気持ちを、彼女は今、噛みしめるように感じているのです。

 

食事が難しくなっても、その一言に込められた感謝の気持ちは失われていません。

 

介護士として食事を支える役割

介護士として、私たちは食事の介助をするだけでなく、食事の時間そのものを大切にしています。

 

それは単に栄養を摂取するための時間ではなく、入居者様の方々にとって、一日の中での楽しみやコミュニケーションの機会でもあります。

 

食事を一緒に楽しむことで、入居者様さんの心に寄り添い、喜びを共有できる瞬間がたくさんあります。

 

例えば、ある日、おかゆだけが食べられる入居者様さんが、私たちスタッフが少し工夫して味付けを変えてみたときに、「今日は何か違う味がする」と嬉しそうに笑ってくれたことがありました。

 

その笑顔は、私たちにとっても大きなやりがいになります。どんなに小さな変化でも、それが入居者様さんにとって幸せな瞬間となるのです。

 

また、食事の時間には自然と昔話や家族のこと、思い出が語られることも多く、食事を通じてその人の人生に触れることができます。

 

その時間が、単なる栄養補給の時間ではなく、心の栄養を満たす時間にもなるのだと実感します。

 

「いただきます」の背景にあるストーリー

「いただきます」を言えることは、当たり前のようでいて実は多くの努力や支えが必要です。

 

料理を作る人の愛情、介助をする人のサポート、そして食材を育てた人々の労働が、その一言に繋がっています。

 

特に老人ホームでは、入居者様の体調や嗜好に合わせた食事の工夫が求められ、栄養士や調理スタッフ、そして介護士が一丸となってその一食を支えています。

 

私が感動したのは、ある入居者様さんが「この食事を作ってくれた人たちに感謝しなきゃね」と言ったことです。

 

介助が必要な状態になっても、その感謝の気持ちは変わらない。その言葉を聞いたとき、私自身も「いただきます」の言葉に込められた感謝の連鎖を再確認しました。

 

私たち介護士も、ただ提供される側ではなく、その一部を担っているという誇りと責任を感じました。

 

幸せは日常の中にある

日々の介護の中で、私が学んだことの一つは「幸せは特別なものではなく、日常の中にある」ということです。

 

「いただきます」と言って食事を楽しむ時間、それは当たり前ではなく、誰かの支えがあって成り立っていること。

 

入居者様の方々が「いただきます」と言える、その一瞬が、どれだけ尊く、どれだけ幸せなことか。

 

私たちは、つい忙しさに追われて見過ごしがちですが、そんな小さな幸せを大切にしていきたいものです。

 

「いただきます」が言えるということ。

 

それは、食べ物や周りの人たちへの感謝だけでなく、自分自身の命に対する感謝でもあります。

 

どんなに体が不自由になっても、どんなに日常が変わってしまっても、その感謝の気持ちは消えません。

 

そしてその感謝を言葉にすることで、私たちは日々の幸せを再確認しながら生きていけるのです。

 

まとめ

「いただきます」という言葉には、たくさんの感謝と幸せが詰まっています。

 

介護士として、その言葉が持つ重みや意味を感じながら日々の仕事に取り組むことで、私自身も学びを得ています。

 

食事ができる幸せ、誰かと食事を共にできる幸せ、それを感謝の言葉で表現できる幸せ。

 

これらは、私たちの生活の中で当たり前に思えるかもしれませんが、実はとても貴重なものです。

 

日常の中で「いただきます」と言える瞬間を大切にし、その一言に込められた感謝と幸せを忘れずに過ごしていきたいと思います。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。