カレンダーに「休み」と書かれているその日も、実際には心が休めていない――。
そんなふうに感じている方は、きっとあなただけではありません。
特に、私たちのような介護の現場で働く人間にとって、完全に「業務から離れる」というのは簡単なことではありません。
人と人とをつなぐ仕事だからこそ、気になってしまうし、つい応じてしまう。
でも、それが積み重なっていくと、気がつけば「いつも仕事が頭のどこかにある状態」になってしまいます。
今日はそんな、「休日なのに気が休まらない」という感覚を抱えているあなたへ、同じ介護の現場で働く者として、少しでも心が軽くなるような言葉を届けられたらと思います。
「休みの日まで仕事の連絡が来る」現実
「LINEひとつだから」
「5分で済む確認だから」
「急ぎの案件だから仕方ない」
そう自分に言い聞かせながら、休日にもスマホを気にしてしまう。
もしくは、「通知を切ると逆に不安だから」と結局つながったままにしてしまう。
それは、私自身にも覚えがあります。
介護の現場では、予測不可能なことが日常的に起きます。体調の急変、家族からの連絡、シフトの調整、そしてスタッフ間の急な連絡。
誰かが倒れれば、その分を誰かがカバーしなければならない。
「誰かが困っているかもしれない」と思うと、放っておけないのです。
それに、施設の空気感や人間関係も影響しますよね。
「連絡を無視したら冷たいと思われないか」
「申し訳ないって思われたら気まずい」
そんな感情も、私たちを“出勤モード”に引き戻してしまいます。
気が休まらないのは、あなただけの問題ではない
よくあるのは、「自分の受け止め方が未熟なのかもしれない」と思ってしまうケースです。
でも、それは違います。
あなたがそう感じるのは、「仕事が好きだから」でも「無責任になれないから」でもありません。
“安心して休める仕組みが、そこにない”からなんです。
制度としての連絡ルールがあいまいだったり、連絡手段が個人のスマホに依存していたり、そもそも「休みは休み」という文化が根づいていない職場も多い。
つまり、あなたが悪いのではなく、「休むべきときに休める環境が整っていない」ことが原因なのです。
だから、自分を責めないでください。
つながりすぎて、壊れてしまわないように
仕事熱心で、まじめで、人の気持ちをよく考えられる人ほど、休日にも反応してしまいます。
でも、本来、休みというのは「何もしないことを許される時間」であるはずです。
ここで少し、車のブレーキに例えてみましょう。
どんなに性能のいい車でも、ブレーキを踏まずに走り続けていたら、いずれどこかで故障します。
私たちの心も同じです。
反応し続けるということは、ずっと軽くアクセルを踏み続けているようなもの。
走っていないように見えても、エネルギーは確実に消費されています。
だからこそ、「反応しない勇気」を持つことが、今のあなたに必要なのかもしれません。
休むことは、「わがまま」ではなく「責任」
「みんな大変なんだから、自分だけ休めない」
「人手不足だから仕方ない」
「あの人に頼まれると、断りにくい」
そういう声が、頭の中でぐるぐる回ることもありますよね。
でも、少しだけ立ち止まって考えてみてください。
あなたが休むことは、誰かを困らせることではなく、「明日の自分と、支える人たちを守ること」でもあるのです。
100%の力で働くためには、0%になる時間も必要です。
常にフル稼働でいる人よりも、きちんとリセットできる人のほうが、長い目で見れば大きな支えになります。
むしろ、「自分が壊れるまで頑張る人」が増えると、チームは回らなくなる。
だからこそ、あなたが休むことは、職場全体を健全に保つための“責任”でもあるのです。
できることから。「自分の境界線」をつくっていく
いきなりすべての連絡を遮断するのは難しいかもしれません。
でも、小さなことから始めることはできます。
たとえば、次のような工夫があります。
🌕通知をオフにして、「確認するのは朝と夜の1回だけ」と決める
🌕グループLINEに「休日は基本返信できません」とプロフィールに添える
🌕「休日に連絡が必要な場合は電話で」と職場の共通ルールにしてもらう
また、同じ気持ちを抱えている同僚と、話してみるのもおすすめです。
「あなただけじゃない」と知るだけで、心の重さはずいぶん変わります。
さいごに:「安心して休める職場」は、あなたの勇気から始まる
私たちが働く介護の現場は、「誰かのために動く」ことが日常です。
だからこそ、自分のことを後回しにするクセがつきやすいのかもしれません。
でも、本当にやさしい職場とは、「支える人が安心して休める場所」でもあるはずです。
そしてその第一歩は、「自分が安心して休んでもいい」と心から思えることから始まります。
あなたがもし今、「気が休まらない」と感じているのなら、それはあなたの心が「もう少し自分を大切にして」と語りかけているサインかもしれません。
どうかその声に、気づいてあげてください。
休むことに罪悪感を抱かず、自分にとっての健やかさを取り戻すための一歩を、今日この記事がそっと後押しできますように。
最後までお読みいただきありがとうございます。