kaigonoki’s diary

えがおの高齢者を増やす介護士

被害者文化にとらわれた人々

私は、老人ホームで働く介護士の「かいごの木」です。同じ介護士として働くあなたにとって、「被害者文化」という言葉を耳にする機会は多いのではないでしょうか?

近年、SNSを中心に「被害者文化」という言葉が盛んに使われ、議論を呼んでいます。

 

しかし、「被害者文化」という言葉は、本来の意味合いとは異なる形で使われることが多く、誤解を生んでいることも事実です。

 

このブログでは、「被害者文化」という言葉の本質と、介護現場における関連性について、考えていきたいと思います。

 

「被害者文化」という言葉は、もともとは社会学者のヴィクター・フランクルが著書「それでも人生にイエスと言う」の中で提唱した概念です。フランクルは、ナチス強制収容所での自身の経験を基に、「人間はどんな状況でも自由を奪われることはない。

苦難の中でさえ、生き方を選ぶ自由は残されている」という考えを説きました。

 

しかし、近年SNSなどで使われている「被害者文化」という言葉は、フランクルの本来の意味とは異なるニュアンスで使われることが多いようです。

具体的には、以下のような意味合いで使われることが多いです。

 

  • 些細な出来事を大げさに捉え、被害者として振る舞う
  • 責任を他者に押し付け、自責しない
  • 困難に立ち向かうことをせず、現状に甘んじる

 

このような「被害者文化」は、確かに問題視されるべき部分もあるでしょう。しかし、すべての「被害者」がこのような態度をとっているわけではありません。

 

多くの場合、人は困難な状況に直面したとき、無力感や絶望感に襲われます。そのような状況の中で、自分を責めたり、周囲に助けを求めたりすることは、決して恥ずべきことではありません。

 

介護現場においても、「被害者文化」という言葉が誤解を生んでいるケースは少なくありません。

 

例えば、介護を受ける高齢者が、自分の状態を嘆いたり、介護職員に過剰な要求をしたりするような場合、「被害者文化」にとらわれていると見なされることがあります。

 

しかし、高齢者がそのような態度をとる背景には、様々な理由があります。例えば、以下のような理由が考えられます。

 

  • 長年培ってきた生活習慣や社会的な地位を失うことへの不安
  • 家族や友人との関係の変化
  • 将来への漠然とした不安

 

介護職員としては、高齢者のこのような気持ちに寄り添い、共感を示すことが重要です。高齢者の話をじっくりと聞き、「あなたは一人ではない」というメッセージを伝えることで、高齢者は安心して生活を送ることができるようになるでしょう。

 

「被害者文化」という言葉を安易に使うことは、問題解決を妨げる可能性があります。大切なのは、個々の状況を丁寧に理解し、適切な対応をすることです。

 

介護士として働くあなたには、高齢者の心を理解し、寄り添う力が求められています。「被害者文化」という言葉にとらわれることなく、一人ひとりの高齢者と真摯に向き合い、支援していくことが重要です。

 

このブログが、介護士の皆様の仕事に役立つことを願っています。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。