kaigonoki’s diary

えがおの高齢者を増やす介護士

心を縛り付けているのは自分自身だと気づいたとき

老人ホームで働く介護士として、日々様々な人々と接する中で、心に深い考えを抱くことがあります。その中でも、最も力強く私を突き動かすエピソードの一つをシェアしたいと思います。それは、自分が心の縛り付けの原因であることに気づいた瞬間です。

 

多くの場合、私たちは自分の心を外部の要因に責任転嫁してしまいがちです。他人の言動や状況が、私たちの感情や心理状態に大きな影響を与えることは確かです。しかし、その中には自分自身が自らの心を縛り付けていることに気づくという大切な一歩があります。私は、ある日の出来事を通じて、そのことを強く感じるようになりました。

 

ある日、私の担当する入居者様の一人であるTさんが、落ち込んでいる様子でした。普段は明るく元気な彼が、何か悩み事を抱えているように見えました。私は彼のそばに座り、話に耳を傾けました。すると、彼は家族とのコミュニケーションに関する悩みを打ち明けてくれました。彼の言葉からは、孤独や不安が滲み出ていました。

 

最初は、彼の不安や孤独感を外部の要因に帰してしまいました。家族とのコミュニケーションの不足や理解不足が、彼の心を苦しめていると考えました。しかし、彼の話を深く聞くうちに、私自身が彼の心を縛り付けていることに気づくきっかけとなりました。

 

私は彼の話を聞きながら、自分自身の経験や価値観が彼の状況に影響を与えていることに気づきました。私は彼に対して、自分の思いや期待を押し付けていたのです。私の偏った見方や理解不足が、彼の心を縛り付けていたのです。

 

その気づきを受けて、私は彼とのコミュニケーションを変える努力をしました。彼の話をよく聞き、彼の立場や感情に共感するよう努めました。そして、私自身の価値観や経験を一旦脇に置き、彼の視点から物事を考えるようになりました。

 

すると、驚くことに、彼の心が少しずつ解放されていくのを感じました。彼は私に対してよりオープンになり、自分の本当の気持ちを素直に表現するようになりました。そして、家族との関係にも前向きな変化が現れました。

 

この経験を通じて、私は大切なことを学びました。心を縛り付けているのは、他者や状況ではなく、自分自身であるということを。私たちは自分の思いや価値観が、他人との関係や状況に影響を与えることを理解し、その影響を最小限に抑える努力をする必要があります。

 

老人ホームでの介護の仕事は、単に身体的なケアだけでなく、心のケアも含まれています。私たちは入居者様それぞれの心に寄り添い、彼らが心の縛りを解放し、豊かな人生を送ることができるよう支援する責任があります。そのためには、まず自分自身が心の縛りに気づき、解放する努力を惜しまなければなりません。

 

心を縛り付けているのは自分自身だと気づいたとき、私たちは真の自由を手に入れることができます。その一歩を踏み出す勇気を持ち、自分自身と向き合うことで、新たな可能性が広がることでしょう。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。