kaigonoki’s diary

えがおの高齢者を増やす介護士

「認知症の日」に寄せて

今日は9月21日、世界アルツハイマーデーとして、認知症に関する理解を深め、サポートの重要性を考える日です。

 

私たち介護士にとって、認知症の入居者様と日々接することは、仕事の一部であり、大切な使命です。

 

しかし、認知症ケアは単に日々の業務をこなすだけではなく、常に新しい視点や気づきをもたらしてくれる深い学びでもあります。

 

認知症ケアの難しさ:理解と共感のギャップ

認知症を抱える高齢者のケアは、私たち介護士にとって時に大変なこともあります。

 

認知症の症状は、記憶力の低下や認識能力の変化だけではなく、行動や感情にも影響を与えます。

 

入居者様が突然怒り出したり、不安を募らせたりすることもありますが、その背景に何があるのかを理解するのは一筋縄ではいきません。

 

多くの介護士が共感すると思いますが、私たちが直面するのは、単に「忘れっぽい」という問題ではなく、「なぜこんな風に感じてしまうのか?」という問いかけの連続です。

 

認知症の方が経験する混乱や恐れは、言葉でうまく説明できないことが多く、その不安感を察する力が求められます。

 

ここに、私たちの共感力が必要になります。彼らの世界に一歩踏み込み、同じ視点で物事を感じる努力を続けることが、介護の現場での質を高める鍵です。

 

認知症の「今」を尊重するケア

認知症のケアにおいて、私たちが最も大切にしなければならないのは「今」です。入居者様の過去や未来ではなく、「今、この瞬間」に目を向けることが重要です。

 

彼らはしばしば過去の出来事や人間関係を忘れてしまうかもしれませんが、今目の前で感じている感情や体験はリアルです。

 

例えば、ある入居者様が毎日同じ話を繰り返すとしましょう。その話の中に出てくる思い出が、彼らにとって安心感や幸せをもたらすものであれば、何度でも聞くことが私たちの役割です。

 

同じ話でも、その瞬間ごとの「今」に共感し、笑顔や安心感を引き出すことが、入居者様のクオリティ・オブ・ライフを向上させるのです。

 

認知症の方々は、私たちが考える以上に「今この瞬間」に生きており、その瞬間の喜びや安心が彼らの人生を豊かにします。この「今を尊重するケア」は、私たち介護士が提供できる最も重要な支援の一つです。

 

介護者としての疲労感と向き合う

認知症ケアは身体的にも精神的にも負担がかかることが多いです。特に、介護者の疲労感は無視できません。

 

私たちは日々、入居者様の笑顔や安心を第一に考えていますが、時には自分自身のケアを忘れてしまいがちです。

 

長時間の勤務や、同じことを何度も説明することに疲れを感じることもあるでしょう。

 

それでも、どれだけ忙しくても、まず自分の心と体を整えることが、良いケアを提供するために必要です。

 

最近、私も同僚と話していて「自己ケア」の大切さを改めて感じました。

 

介護の仕事に熱心であればあるほど、知らず知らずのうちに自分のエネルギーを消耗してしまいます。

 

しかし、自分が心身ともに健康でなければ、入居者様に対しても良いケアを提供することは難しくなります。

 

定期的な休息や気分転換、自分の感情に正直になることが、長くこの仕事を続けるための秘訣です。

 

認知症のケアを「支え合い」の視点で

認知症ケアは、私たち介護士だけでなく、家族や他の職種の人々と協力して行うべきものです。特に家族との連携は重要です。

 

認知症を患う方の家族は、時に戸惑いや不安を抱えていることが多く、私たち介護士がその不安を和らげ、家族と入居者様の関係をサポートする役割を担っています。

 

例えば、家族が「母が私のことを覚えていない」と悲しむことがあった時、私たちはその気持ちに寄り添いながらも、「お母様は今、この瞬間を大切に生きています」と伝えることができます。

 

家族にとっては、記憶の喪失が悲しい現実かもしれませんが、その一方で、今目の前の入居者様がどのように感じ、どのように過ごしているかを共有し、家族が新しい視点で接する機会を提供することも大切です。

 

また、他の介護スタッフや看護師、医師と協力してケアを進めることも不可欠です。私たちは一人で全てを抱え込む必要はありません。

 

チーム全体で、入居者様の個々のニーズに応えるケアを提供し、より良いサポートを実現することが、認知症ケアの成功に繋がります。

 

認知症の日を迎えるにあたって

認知症ケアは、単なる「介護」ではありません。

 

それは、入居者様の人生を支えることです。

 

そして、私たち介護士が日々の仕事を通して学ぶのは、認知症の方々が教えてくれる「今を生きる」という大切なメッセージです。

 

私たちも、入居者様と共に過ごす瞬間を大切にし、彼らがより安心して暮らせる環境を作り出すことが求められます。

 

今日は認知症の日。ぜひ、皆さんも自分のケアの在り方を見つめ直し、入居者様にとって最善のサポートを提供できるよう、日々の努力を続けていきましょう。

 

認知症ケアには終わりがないかもしれませんが、その中に私たちが見つけられる小さな喜びや気づきは、確実に私たちの心に刻まれるものです。

 

認知症の方々と共に歩む道は時に険しいですが、同時に深い愛と学びに満ちたものです。これからも、共に支え合いながら、入居者様の人生を輝かせるために頑張りましょう。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。