kaigonoki’s diary

えがおの高齢者を増やす介護士

その人なりの流儀:介護士の視点

私は老人ホームで働く介護士の「かいごの木」です。日々、多くの高齢者の方々と接する中で、常々「介護」とは何か、そして「良い介護」とは何かについて考え続けています。

 

介護の正解は一つではありません。一人ひとりの高齢者は、人生経験も価値観も、身体状況も異なります。

 

個性を尊重する

私は、介護において最も大切なのは「個性を尊重すること」だと考えています。

 

ある入居者は、いつも決まった時間に散歩に出かけます。雨の日でも風の日でも、決まった時間に決まったコースを歩くのです。

 

最初は、無理に止めようとしていました。「雨だから今日は休んでください」「転んで怪我をしたら大変です」。しかし、入居者は頑として譲りません。「私はこれが日課だ」「これが生きがいだ」と。

 

そこで、私は考えを変えました。雨の日でも安全に散歩できるよう、レインコートや長靴を用意し、一緒に散歩に出かけるようにしました。

 

入居者は、とても喜んでくれました。「ありがとう。君のおかげで、今日も気持ちよく散歩することができたよ」

 

寄り添う気持ち

私たちは、つい「自分のやり方」を押し付けてしまいがちです。しかし、大切なのは、高齢者の気持ちに寄り添い、その人の「流儀」を尊重することだと私は思います。

 

ある入居者は、食事の時間になると、必ず自分の部屋で一人食べようとします。

 

最初は、寂しい思いをしているのではないかと考え、食堂で一緒に食べるように促しました。しかし、入居者は頑として拒否します。「私は一人で食べるのが好きだ」「誰にも邪魔されたくない」と。

 

そこで、私は入居者の部屋に食事を運ぶようにしました。そして、食事が終わるまで、部屋の外で待機することにしました。

 

入居者は、とても安心した様子で食事をしていました。「ありがとう。君のおかげで、ゆっくりと食事を楽しむことができたよ」

 

人それぞれ

このように、高齢者一人ひとりの「流儀」は異なります。私たち介護士は、それを理解し、尊重することが大切です。

 

もちろん、安全や健康を害するような「流儀」であれば、しっかりと説明し、理解してもらう必要があります。しかし、可能な限り、高齢者の意思を尊重し、その人の「流儀」で生活できるようにするのが、私たちの仕事だと私は考えています。

 

介護は奥深い

介護は、決して簡単な仕事ではありません。しかし、高齢者の笑顔や感謝の言葉は、何物にも代え難い喜びを与えてくれます。

 

私は、これからも一人ひとりの高齢者に寄り添い、その人なりの「流儀」を尊重しながら、介護を続けていきたいと思っています。

 

最後に

もしあなたが介護に関心を持っているなら、ぜひ一度、老人ホームを訪れてみて下さい。そして、高齢者の方々と話をしたり、一緒に時間を過ごしたりしてみて下さい。

 

きっと、あなたにとってかけがえのない経験になるはずです。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。