kaigonoki’s diary

えがおの高齢者を増やす介護士

強い善意と弱い悪意

介護士として働く中で、日々様々な感情と向き合います。それは、入居者の方々だけでなく、ご家族や同僚、そして自分自身のものも含めてです。

 

特に印象に残っているのは、ある入居者の方とご家族とのエピソードです。

 

その方は、認知症が進み、ほとんど会話ができない状態でした。しかし、ご家族が訪れると、顔にパッと笑顔が浮かび、目を輝かせながら手を振ります。ご家族はそんな様子を見て涙を浮かべながら、「父は私たちのことをまだ覚えていてくれるんですね」と語りかけます。

 

その光景を見て、私は胸が熱くなりました。認知症という病状によって、多くの記憶を失い、言葉もままならない状態でも、ご家族への愛情は決して薄れていない。むしろ、言葉で伝えられない深い愛情が、その笑顔や仕草から溢れ出ていると感じました。

 

一方、介護士として働く中で、ついつい強い善意を押し付けてしまう場面もありました。

 

例えば、入居者の方が食事を拒否したとき、無理に食べさせようとしたり、栄養の偏りを指摘したりしてしまいます。

 

それは、入居者の方の健康を第一に考えてのことなのですが、本人の意思を尊重せずに一方的に行動してしまうことは、結果的に相手を傷つけてしまうこともあるかもしれません。

 

強い善意は、時に傲慢さに繋がってしまうことがあります。介護士として大切なのは、入居者の方一人一人の個性を尊重し、その意思に基づいたケアを提供することです。

 

また、介護士同士のちょっとした悪意も、職場環境を悪化させてしまうことがあります。

 

例えば、同僚の仕事ぶりを陰口で言ったり、ミスを指摘したりするような行為は、相手を傷つけ、不信感を生んでしまいます。介護の仕事は、チームワークが非常に重要です。お互いを尊重し、協力し合ってこそ、質の高いケアを提供することができます。

 

弱い悪意とは、小さな意地悪や悪口など、一見些細なことのように思えるかもしれません。しかし、積み重なっていくと、大きな問題に発展してしまう可能性があります。

 

介護の仕事は、常に人の命と向き合う責任重大な仕事です。だからこそ、常に高い倫理観を持ち、入居者の方、ご家族、そして同僚に対して誠実な態度で接することが求められます。

 

強い善意と弱い悪意。介護士として働く中で、この二つの感情は常に隣り合わせにあります。大切なのは、強い善意を押し付けずに、相手の意思を尊重すること、そして弱い悪意を捨てて、周りの人と協力することです。

 

そうすることで、入居者の方々が安心して生活できる環境を作り出すことができるのではないでしょうか。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。