kaigonoki’s diary

えがおの高齢者を増やす介護士

「ない」から「すでに在る」へ

このタイトルには、私たちが日々感じる欠乏感から、すでにあるものへの気づきに変わるプロセスが込められています。

 

日常生活において、何かが足りない、もっと欲しいという思いは誰しもが抱くもの。

 

しかし、視点を少し変えることで、実はすでに満たされていると感じる瞬間が訪れることもあるのです。

 

私も介護士として、日々さまざまな状況に立ち会います。老人ホームで働いていると、入居者様の中にも「若さがない」「自由がない」「家族がそばにいない」などの「ない」という気持ちを抱えている方がいらっしゃいます。

 

それでも、彼らと接していると、ふとした瞬間に「すでに在る」ものに気づかされることがあります。例えば、他の入所者様やスタッフとの何気ない会話や笑顔。そこには温もりや安心感が「すでに在る」のです。

 

欠乏感の正体

欠乏感は、私たちの生活において無意識に蓄積されていくものです。

 

「あれが足りない」「これが欲しい」と思うことで、気づかないうちに自分を不安や焦りに追い込んでしまいます。

 

しかし、その多くは、本当に必要なものではない場合もあるのです。必要だと思い込んでいるだけで、実は「もう十分に持っている」ということが少なくありません。

 

介護の現場でも、求められるスキルや忍耐、体力に不足を感じることはありますが、ふと立ち止まって自分の周りを見渡すと、仲間たちの支えや、入所者様の「ありがとう」の言葉がそこにあり、自分が必要とされているという確かな存在感を感じることができます。

 

これこそが「すでに在る」ものであり、日々の支えなのです。

 

すでに在るものを見つける方法

「ない」から「すでに在る」へと視点を変えるには、どうすればいいのでしょうか?私が実践している方法の一つは、毎日の感謝を意識することです。

 

例えば、一日が終わった後、その日の出来事を振り返り、感謝できることを一つでも見つける。

 

それは大きなことでなくても構いません。暖かい日差し、誰かの優しさ、あるいは自分の小さな成功。こうした感謝の習慣を続けることで、「すでに在る」ものがどんどん見えてくるのです。

 

また、他者とのつながりも「すでに在る」ものを実感するために大切です。私たちは日々、目に見えないところで誰かに支えられて生きています。

 

介護の仕事においても、スタッフ同士のサポートやご利用者様から学ぶことが多くあり、これが自分を支えてくれる「すでに在る」ものであると感じます。

 

すでに在る豊かさを認める

「ない」から「すでに在る」へシフトするためには、まず「今あるもの」を認めることが必要です。

 

私たちは、何かがないことに気を取られすぎて、すでに持っているものの価値を見逃してしまいがちです。

 

時間や健康、他者とのつながり、そして何より自分自身が日々を生き抜いているという事実。

 

これこそが、私たちがすでに持っている大きな豊かさなのではないでしょうか。

 

入居者様の中には、「家族が訪れてくれない」「かつてのように自由に動けない」といった悩みを抱える方がいますが、その方々がスタッフや他の入居者様との触れ合いを通して笑顔になる瞬間を目にすることがあります。

 

その瞬間こそ、「すでに在る」ものに気づいている瞬間なのかもしれません。

 

まとめ

「ない」から「すでに在る」への転換は、単に物理的な豊かさではなく、心の豊かさに気づくことです。

 

すでに持っているものに目を向け、その豊かさを認識することで、私たちの生活はより満たされたものになります。

 

物や状況に頼るのではなく、自分がすでにあること、その瞬間瞬間に感謝できることが、本当の豊かさを生み出すのです。

 

今日もまた、老人ホームでの仕事を通して、「すでに在る」ものに気づかされることがあるでしょう。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。