kaigonoki’s diary

えがおの高齢者を増やす介護士

現役介護士が考える:人を喜ばせる意味

こんにちは。私は、老人ホームで働く介護士です。日々、高齢者の方々の生活をサポートする中で、たくさんの「喜び」に出会ってきました。

 

「人を喜ばせる」という言葉、みなさんはどう感じますか?

誰かの笑顔を見ると嬉しいけれど、それをわざわざ意識して行動するのは難しいと思う人もいるかもしれませんね。私自身も、介護の仕事に就く前まではその一人でした。でも、この仕事を通じて、「人を喜ばせる」ことの奥深さと、その意味の重さを知りました。今日はそのことを少しお話ししたいと思います。

 

何気ない瞬間に宿る「喜び」

介護の現場では、日々さまざまな場面で喜びを見つけることができます。

例えば、ある日のこと。普段あまり食が進まない入居者様のEさんがいました。

 

施設の食事はどうしても好みに合わず、毎回少しだけ手をつけて残されていました。そんなEさんのために、ある日、栄養士さんと相談しながら、おにぎりを作ることになりました。

 

おにぎりを手にした瞬間、Eさんは驚いたような顔をされて、それから笑顔になりました。

 

「これは、母が作ってくれたのと同じ味だわ」と言って、ほぼ完食されました。

 

その日、私はEさんの満足そうな表情を見て、心の底から「ああ、この仕事をしていてよかった」と思いました。

 

喜びは、派手なイベントや特別な場面だけで生まれるものではありません。それは、日常の中のほんの些細な行動や気遣いの中に息づいています。

 

喜びは「つながり」の中で生まれる

人を喜ばせるという行為は、一方的なものではありません。

 

たとえば、Fさんという入居者様は、初めは私たち介護士に心を開いてくださらない方でした。どこか警戒したような態度で、会話も最小限。しかし、あるとき、Fさんの趣味が絵画だと知りました。

 

私は絵には詳しくなかったのですが、何度もFさんに尋ねました。「この絵はどういう思いで描いたんですか?」とか、「どんな風景を描くのが好きですか?」と。最初はそっけない返事だったFさんも、だんだんと表情が和らぎ、ついにはこんなことを言ってくださいました。

 

「話を聞いてもらえて嬉しい。あなたが興味を持ってくれるから、また描きたくなったよ」

 

その言葉が私にとってどれほど嬉しかったか。それは、Fさんの喜びが私自身の喜びにもつながった瞬間だったのです。

 

「喜ばせる」ことが生む力

人を喜ばせることは、決して自己犠牲ではありません。それは、誰かの心を満たすと同時に、自分の心も満たされる行為です。

 

たとえば、入居者様が嬉しそうに話してくれた昔の思い出。それを聞いているうちに、私自身がその物語に引き込まれ、感動することがよくあります。

 

また、ご家族が施設を訪れて、「こんなに穏やかな顔をしているのを久しぶりに見ました」と言ってくださったとき、その瞬間も私自身が救われているように感じます。

 

介護の仕事をしていると、時に辛いこともあります。身体的に大変な日もあれば、感情的に揺さぶられる場面も少なくありません。でも、その中で誰かの笑顔や「ありがとう」という言葉をもらうと、不思議と力が湧いてくるのです。

 

喜びを与えることの意味を考える

介護の現場で感じる「喜び」には、いくつかの形があります。

一つは、目に見える形の喜び。それは、入居者様が笑顔になったり、「ありがとう」と言ってくださる瞬間です。

 

もう一つは、目には見えない形の喜び。それは、入居者様の心の中で静かに生まれる安心感や信頼感、そして「自分がここにいてもいいんだ」という思いです。

 

私たち介護士が与える喜びは、後者であることが多いかもしれません。それはすぐに分かるものではないけれど、長い時間をかけて心に根づくもの。そうした「見えない喜び」を届けられるのが、この仕事の大きな意味だと思っています。

 

あなたも誰かを喜ばせている

最後に、このブログを読んでいるあなたにお伝えしたいことがあります。

「人を喜ばせる」という行為は、特別な技術や資格が必要なものではありません。

 

日々の中で、ちょっとした言葉や行動で、誰かを喜ばせている瞬間が必ずあるはずです。

 

たとえば、家族や友人への「おはよう」や「ありがとう」の一言。あるいは、道端で困っている人に手を差し伸べること。それだけで、誰かの一日を明るくできるのです。

 

人を喜ばせることの未来

介護の現場では、多くの高齢者がその人生の最後の章を迎えます。その時間を少しでも明るいものにするために、私はこの仕事を続けています。そしてその中で、私自身も多くの「喜び」をもらっています。

 

このブログを読んだあなたも、日常の中で「人を喜ばせる」ことの意味を、少しだけ意識してみてください。それはきっと、あなた自身を喜ばせることにもつながるはずです。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。