毎日、入居者様のケアをしながら、同僚と連携し、家族対応に追われる日々。介護の仕事は、チームで支え合わなければ成り立たない。でも、そんな中で私はしばしば「人とうまくやれない自分」とぶつかります。
職場の中で何度も人と衝突し、失敗しては落ち込んで、またちょっと強がってしまう。そんな自分が嫌でたまらないときもあります。
今日は、そんな「カッコ悪い自分」をそのまま、正直に書いてみたいと思います。
「正しい」はいつも孤独を生む
私はどちらかというと、仕事には真面目で、一つひとつを丁寧にやろうとするタイプです。だけどその“真面目さ”が、時に自分自身を苦しめることがあります。
たとえば、職場でのちょっとしたミスに気づいたとき。私自身が気づいたのだから、黙っていれば波風は立たない。でも私はつい、注意してしまうのです。
「そこ、記録忘れてますよ」 「この順番、手順と違います」
言ってることは間違ってない。でも、言い方やタイミングが悪い。伝え方に思いやりがない。
そんな風にして、人とぶつかることが少なくありませんでした。
「どうしてそんなにトゲトゲしいの?」 「正しいこと言ってるのに、なんか怖いよ」
そんな風に言われるたび、自分の中にある“正しさへのこだわり”が、実はただの“鼻っ柱の強さ”だったのかもしれないと思い知らされます。
私は「正しさ」の鎧を着て、自分の未熟さや不安から目をそらしていたんです。
本当はただ、認めてほしかった
人と衝突したあと、自分を責める夜があります。
「あんな言い方しなくてもよかったよな」 「もっと違う伝え方があったかもしれない」
心の中では反省しているのに、いざ本人を前にすると、素直になれない自分がいます。
謝るのが怖い。負けたような気がする。情けないと思われたくない。そんな気持ちがぐるぐると頭を回って、結局、強がってしまう。
でも本当は、ただ認めてほしいだけだったんです。
「あなたが言ってくれて助かった」 「真剣に向き合ってくれてるの、分かってるよ」
そんな一言が欲しかっただけなのに、私はそれを言わせないような態度をとって、自分で自分を孤独にしていたのかもしれません。
入居者様のひと言に、ハッとさせられる
ある日、気持ちが落ち込んでいるまま出勤した私は、どこかぎこちない笑顔で入居者様に接していました。
すると、一人の女性の入居者様が私にぽつりとこう言いました。
「無理に笑わなくていいのよ。あなた、今日ちょっと疲れてる顔してるわね」
その言葉に、私は思わず涙が出そうになりました。
「人前では強くいなきゃ」と思っていた私の中にある、張り詰めた糸が、ふっと緩んだ瞬間でした。
自分では気づかないふりをしていた弱さや疲れを、見抜いてくれる人がいる。そのままを受け入れてくれる人がいる。
それだけで、救われるんだなと思いました。
「カッコ悪い自分」も、自分の一部
介護の仕事をしていると、「人の気持ちに寄り添うこと」が求められます。でも、それって簡単なことじゃない。
相手の背景や感情を理解するには、自分自身の感情にも敏感でなければならない。
だけど私は、まだまだ未熟です。
✅気持ちがうまく表現できない
✅つい感情的になってしまう
✅人を傷つける言い方をしてしまう
そんな「カッコ悪い自分」が確かにいる。
でも、最近は少しだけ思えるようになってきました。
それも自分なんだ、と。
完璧じゃない。むしろ欠点だらけ。だけど、その不器用さの中に、人間らしさがあるのだと信じたいのです。
傷ついても、人と関わることをやめたくない
人と関わるって、ほんとうに難しい。相手の言葉に傷つくし、自分の言葉で傷つけることもある。
それでも私は、人と関わることをやめたくありません。
なぜなら、傷ついたぶんだけ、誰かに優しくなれると信じているからです。
ぶつかった経験があるからこそ、人の痛みに気づけるようになる。失敗したからこそ、誰かの失敗に寛容になれる。カッコ悪い自分を知っているからこそ、他人の不完全さを受け入れられる。
だから今日もまた、自分の鼻っ柱をちょっとだけ折りながら、少しずつ「人と関わることの痛みと温かさ」に慣れていきたいと思っています。
さいごに
「人とぶつかって失敗し傷ついて、鼻っ柱だけは強いだけのカッコ悪い自分がある」
この言葉は、私が何度も心の中でつぶやいたものです。そして、それを打ち明けられるようになった今、少しだけ心が軽くなりました。
誰もが「カッコ悪い自分」を抱えて生きていると思います。でも、それを見せることを怖がらなくていい。むしろ、そんな自分こそが、人とのつながりを深くしてくれると、私は信じています。
読んでくださったあなたがもし、同じように「ぶつかり」「失敗し」「強がって」「傷ついて」いるのなら――
どうか、あなた自身のことを嫌いにならないでください。
カッコ悪くても、未熟でも、あなたの中にある「誰かとまっすぐ向き合いたい」という気持ちは、きっと誰かに届いています。
そしてそれは、あなたが思っている以上に、尊くて、美しいものです。
今日も、少しずつ、素直になれる自分を探しながら生きていきましょう。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。