私は老人ホームで働いている介護士です。この仕事を通して、多くの人と接する中で感じることがひとつあります。
それは、不安に押しつぶされてしまう瞬間が誰にでもあるということです。特に、介護の現場は想像以上にプレッシャーや責任感が大きく、不安や心配に押しつぶされそうになることも少なくありません。
私自身も、これまでに何度もそのような瞬間を経験してきました。
不安にすくみ、何もできなくなってしまうとき。そんなとき、どうすれば良いのでしょうか?今日は、私自身の経験や感じたことをもとに、不安に立ち向かい、行動に移せる方法についてお話ししたいと思います。
不安とは何か?
まず、不安とは何でしょうか?不安は、将来に対する漠然とした恐れや心配から生まれる感情です。まだ起こっていない出来事や、コントロールできない状況に対して、私たちは「どうなるんだろう」「もし失敗したらどうしよう」と考えてしまいます。
すると、心の中に「不安」という大きな壁が立ちはだかり、前に進む力が奪われてしまうのです。
例えば、老人ホームでの仕事においても、不安に駆られる瞬間はたくさんあります。新しい入居者様が来られるとき、入居者様の健康状態が悪化したとき、急な対応が求められる場面など、何が起こるかわからない状況に直面することは少なくありません。
そのたびに「自分が対応できるのだろうか」「ミスをしてしまったらどうしよう」と、不安が募ってしまうのです。
不安によって行動できなくなる理由
不安が私たちの行動を止めてしまうのは、脳が「危険だ」と判断しているからです。
私たちの脳は、危険を回避するために、本能的にストレスや不安を感じたとき、行動を抑制しようとします。
これは、私たちの命を守るための仕組みでもありますが、日常生活においては必ずしも役立つとは限りません。むしろ、不安によって行動できなくなり、逆に問題を大きくしてしまうこともあります。
私たち介護士も、不安にすくみ、適切な判断や行動ができなくなることがあります。特に、初めての対応や予期しないトラブルに直面したとき、どうすれば良いかわからず、頭が真っ白になってしまうことがあります。
その結果、思考が停止し、行動できなくなるのです。
不安に立ち向かうためのステップ
では、不安にすくみ行動できなくなるとき、どのように対処すれば良いのでしょうか?私が実践しているいくつかのステップをご紹介します。
不安を受け入れる
まず最初に大切なのは、「不安を感じている自分」を認めることです。不安は誰にでも訪れるものであり、感じること自体は悪いことではありません。
「不安を感じるのは当たり前だ」と自分に言い聞かせ、その感情を無理に否定せずに受け入れることが大切です。
小さな一歩を踏み出す
大きな課題や問題に直面すると、不安に押しつぶされそうになりますが、全てを一度に解決しようとしないことがポイントです。
まずは、小さな一歩を踏み出すことを心がけましょう。たとえば、入居者様に何かを尋ねられてすぐに答えられなかったとしても、その場で全ての答えを出そうとせず、少し考える時間をもらうなど、できることから始めてみるのです。
小さな成功体験が積み重なると、自信が生まれ、次第に大きな行動へとつながっていきます。
他者の助けを借りる
介護の現場はチームで動く仕事です。ひとりで全てを解決しようとせず、同僚や上司に相談することも大切です。
「こんなことを聞いてもいいのだろうか」と思うことでも、遠慮せずに相談することで、意外な解決策が見つかることもあります。誰かに頼ることは弱さではなく、チームとしての強さを発揮するための手段です。
過去の成功体験を振り返る
不安に押しつぶされそうなとき、自分の過去の成功体験を思い出すことも有効です。「以前もこんな状況を乗り越えた」「あの時も不安だったけれど、何とかできた」と自分に言い聞かせることで、不安に立ち向かう力が湧いてきます。
私たちはこれまでにたくさんの困難を乗り越えてきたのです。それを忘れずに、自分を信じることが大切です。
私自身の経験
私も、介護士として働き始めたころは、常に不安にすくんでいました。初めての業務、入居者様とのコミュニケーション、新しい同僚との関係など、何もかもが未知で、何度も「自分にできるのだろうか」と悩みました。
特に、急な体調変化に対応しなければならない場面では、頭が真っ白になり、行動が遅れてしまうこともありました。
しかし、そんなときに救いになったのは、周りの先輩や同僚たちの支えでした。彼らに相談し、アドバイスをもらうことで、自分一人で抱え込んでいた不安が少しずつ軽くなっていきました。
そして、小さな成功体験を積み重ねることで、少しずつ自信を持つことができるようになったのです。
不安は敵ではない
不安は私たちにとって「敵」のように感じるかもしれませんが、実はそうではありません。不安は、私たちが成長するためのサインでもあります。
不安を感じるからこそ、私たちはより良い選択をしようと努力し、準備を怠らないように気をつけます。不安がなければ、私たちは成長し続けることができないのです。
不安を感じたとき、それを避けようとするのではなく、その不安が何を教えてくれているのかを考えることが大切です。
もしかしたら、それは新しい挑戦や成長のチャンスかもしれません。そして、そのチャンスを掴むために、一歩踏み出す勇気を持つことが必要です。
まとめ
不安にすくみ、行動できなくなることは誰にでもあります。特に、介護という責任感の強い仕事では、何度もそんな瞬間に直面するでしょう。
しかし、不安を避けるのではなく、それに向き合い、小さな一歩を踏み出すことで、少しずつ前に進むことができます。
大切なのは、不安を感じる自分を責めず、受け入れること。そして、他者の助けを借りながら、過去の自分の成功体験を思い出し、一歩ずつ進むことです。
不安は私たちの成長を促すサインです。だからこそ、その不安を乗り越えることで、私たちはより強く、豊かな介護士として成長できるのです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。